毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
未だ臭う実のそばで、俺達は笑い合った。


「ヤエヤマアオキの実を、ノニって呼ぶんですよ。」

「そうなのか。さっき見つけてた木だよな。」


にこっと音が聞こえてきそうなぐらい、瑞希は笑みを深める。

あー・・・ほんと、可愛い。

・・・んだが、その口からはいつも、可愛くない毒性ばかりが紡がれている。


今回は珍しくそうはならなそうだ。
ガッカリしたような、安心したような・・・複雑な心境だ。



でも。
やっぱり彼女は裏切らなかった。



「ノニジュース、ご家族が飲まれているんでしたら、ご注意くださいね。」

「・・・え?」


ブームがあったジュースなのに、注意が必要なのか?!


「外国で、ノニジュースを一日に2リットル、三ヶ月飲んで、自然治癒性でしたが肝機能障害を起こした事例がありますから。」


一日・・・あの微妙な味のジュースを2リットル?!?!
そっちの方が驚きだろ!!!


< 423 / 437 >

この作品をシェア

pagetop