毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
この夏は色々あったな。

しみじみ思い返したくなるのは、たぶん目の前の現実から目を逸らしたいからだ。
テーブルの上には、書類の山。
パソコンを開けば、メールの返答待ちの山。

そんなこんなで、開発は今みんなどっかピリピリしている。

時々すれ違う同期達も、暇な時なら一言ぐらいしゃべって行くが、今日は目も合わない。
昼になったら、購買に行こう。
瑞希の顔を見て少し癒されたら、午後も頑張れるはずだ。
そんなことを考えながら、少しでも残業時間を減らそうと、俺は目の前の敵に向かい合った。


仕事がなかなか減らないまま、昼休憩になる。
投げ出したくなるぐらいの忙しさだから、休憩を取ってる暇なんて無いのかもしれないが、人間腹が減っては戦は出来ない。

購買へ行こうと立ち上がると、ちょうど北村がこっちにくるのが見えた。
あいつの顔も相当疲れている。
・・・まだ、午前中が終わったばっかなんだよな・・・先は長い。


「よ・・・はかどってるか・・・?」


覇気の無い声。


「そんな風に見えるか?」

「全く見えん。」

「お互いにな。」


歩く方向は同じなので、歩調を合わせながら。

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