毒草彼女 -ポトスで始まる恋ー
だからって、俺が伊東だから伊東一派とか、ちょっとアレじゃね?

「すごいですよね、伊東さん、かっこいいからファンの方もみえるんですね。」
「あ・・・ありがとうございます・・・俺も、今知りましたけど。」

なんとか顔を上げて、大塚さんと視線を合わせる。
だけど俺はまだ、伊東一派ショックから抜け切れてない。
そんな時、大塚さんは空をふと見上げて、傘を閉じた。
雨が、止んだ。

「良かった。雨、止みましたね。」

傘を巻きながら、彼女はソテツを見上げた。
天気予報は当たったらしい。

俺も傘を閉じて、巻かないままソテツを見上げた。
立派なソテツだ。
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