愛シテアゲル
「そんなことが起きていたの? ご、ごめん。小鳥ちゃんが大変な時に、私は自分のことでいっぱいで」
「ううん。それはいいんだよ。花梨ちゃんのその気持ち、よくわかるもん。なんていうか、通じているようで通じていないっていうのかな」
片思いの気持ちなら、小鳥もわかっているつもり。
「そうなんだよね~。気がないならないって言ってほしいな。ないようであるように見せられると期待しちゃうじゃん」
「わかる。ただの優しさで、ただのお兄ちゃんの気持ちで、ただの妹的存在で終わるのかな~とかね」
「そうそう。優しいのも困るよね」
つい二人でうんうんうなずいてしまう。
「小鳥ちゃん。やっぱり誕生日に告白できなかったの? そんな片思いを語っちゃうなんて」
小鳥は黙る。そして言葉がでなくなる。
「はあ。その様子だと、小鳥ちゃんたら、今度は卒業するときに告白するんだーて、先になっちゃいそうだなあ」
「あの、花梨さん」
「花梨さんて、なに。急に改まって」
そう、小鳥は姿勢を改めて、背を伸ばし彼女に向かう。そして報告した。
「岬に行った日。お兄ちゃんが追いかけてきてくれて――」
『二十歳になるまで待っていた』と、父親に義理を通して、成人するまで待っていてくれたこと、実は小鳥が知らないうちに両想いになっていたことを知らせた。