愛シテアゲル


「あんまり脅かしたくはないんだけど――。本当に身体と身体の相性がよくないカップルも希にいるみたいだよ。どうしてもうまく合体できないんだって。合体できたとしてもどちらかが痛みを感じて苦痛を伴うと、どんなに気持ちがあっても、愛情も壊れちゃうケースに発展することがほとんどみたい。そのうちにセックスも空気になるなんていう人いるけど、やっぱり男と女が結ばれるなら、セックスは重要だよ」

 それを聞いて、小鳥は不安になってくる。まさか、身体の相性がよくない方?

「そんなことは滅多にないから。ほんと、思い切っていった方がいいよ。でも無理して女の子だけ痛い思いして、セックスが怖くなることもあるらしいから、イケイケともいえないかな。翔兄が待ってくれるだけ待ってもらってもいいと思うよ。二十歳まで我慢できたんだし、翔兄は十代のオサル男みたいにコントロールできないってわけでもないでしょ。ずっと大人なんだから、大丈夫だよ」

 やはり花梨に相談して正解だと思った。すぐにからかったりしないで、ざっくばらんにでも真剣に話してくれる。だから小鳥も思い切って相談できる。

「うん、そうする。無理しないで、今度、心からそうしたいと私が思ったときに愛してもらう」
「それがいいよ。愛してほしいって気持ちが、身体の感じる反応につながっていくんだから」

 そう教えてくれる花梨をみて思った。

 花梨ちゃん。本当は宮本先輩と良いセックスをしているんだと。でも、だからこそ、将来を思って憂うのかもしれないけれど。



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