愛シテアゲル


 小鳥と花梨は思わず顔を見合わせてしまう。

 そして、きっと『なににびっくりしたか』その驚きも同じことを思っている!?

 驚愕で硬直したきりの先輩二人を見て、スミレがちょっと申し訳なさそうにつぶやいた。

「えっと。やっぱり『彼のお姉さん』を目の前にして、いつ報告すればいいか、ずっとずっと悩んでいたんです。次にそういう話題がでたら、思い切ってと決めていて」

 花梨がテーブルに手を突いて立ち上がる、そして叫んだ。

「よくやった! 聖児!」

 もう小鳥は顔を覆って項垂れる。

 嘘、嘘だ~! 初体験、弟と奥手そうな後輩に先を越されていた!?

「なによ、すぐに報告してくれたって良かったのに! いつなのよ、いつそうなったのよ!?」
「えっと。その、クリスマスに……。聖児君、春になったら大阪の自動車大学校にいっちゃうから……」
「えー! やっぱ聖児はやるときやるね!」

 盛り上がる二人が、ふと小鳥を見た。

「痛いんだって。翔兄のが」

 花梨の短い説明だけで、スミレがすべてを察してくれ、こちらも驚いている。

「いつの間に! でもお二人は絶対に想いあっていると感じていました。私!」

 よかった。小鳥先輩、おめでとう! 弟のカノジョ、こちらもいつの間にだけれど、とにかく弟のカノジョとようやっと確定した後輩から祝福されても、なんだか複雑!

「小鳥ちゃん。痛いの、ちょっとだけだから」
「そうですよ。ちょっとだけ、なんですよ」

  うー、もう、ヤダ! とうとう最後のヴァージンさんになっちゃった!




 

 

 

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