愛シテアゲル
サークルを管理している上で、花梨は小鳥にとってパートナー。高校時代以上になくてはならない存在になっている。
「いいよ、花梨ちゃん。それより酔って、うちの女の子に悪さしないか見ておいて。さりげなく助けてあげて」
特に、あそこ。小鳥は目線をそこへ向ける。美人の花梨は容易に落とせないとわかっている男子が、酔った勢いで最後に悪ふざけをするところも決まっていた。
「小鳥が飲めないなら、代わりにスミレが飲め!」
「だめですよ。私まだ未成年です」
「お前達、堅いな。本当はこっそりみんな、大学に入ったらアルコールデビューしているんだぞ」
「ひとくちだけ、ひとくちだけな。来年、成人する前の練習だよ、練習」
スミレを始めとしたおとなしめの女の子が二、三人固まって座っているところへと、男達が集まる。
毎度のパターンは決して覆ることなく、小鳥と花梨は一緒にため息をついた。
「んーもう、しょうがないな。聖児のために行ってくる」
「はあ、聖児のため……」
小鳥は苦笑いをこぼした。
スミレが龍星轟へ頻繁に訪ねてくるようになってから、いつのまにか……だった。弟と後輩のスミレのふたりは密かに交流するようになっていた。たぶん、まだ『交流』。交際じゃなくて交流。それとも? 彼等なりにもうお付き合いはしているのかもしれない。