愛シテアゲル
「ああ、大洋にもしばらく会っていないな。果樹園のお手伝い、頑張っているみたいだね」
本当はおじいちゃんも、あの素敵な果樹園に行って、あの空気を吸いたいんだな――。
小鳥はそう感じた。
「じいちゃん。今度は私と一緒に行こうよ。珠里おばさんと大洋が喜ぶよ!」
元気に言うと、おじいちゃんも笑顔になってくれる。
「そうだな。小鳥の運転で連れていってもらおうかな」
昔は逆だった。島に遊びに行った時におじいちゃんもやってきて、そこの水色のワーゲンバスに子供達をいっぱい詰め込んで、島の海水浴場まで連れて行ってくれた。しかもおじいちゃんが一人で子守りをしてくれて――。
小鳥に、聖児に玲児。真鍋の大洋に、蒼志。そして真田の璃々花姉さん。子供達みんなの優しいおじいちゃんだった。そして親たちにとっても、伊賀上マスターは『お父さん』でもあった。
「まだ冷えるね。さあ、おはいり」
海辺のモダンな家にお邪魔する。