愛シテアゲル



 ドライブサークルと聞いただけで、そこにいた男子三人が眉間にしわを寄せた。

「ああ、うん。小谷君が立ち上げたらしくって」
「えーー。小谷君って、1コ下の小谷君!? 小鳥ちゃんと同じ自動車愛好クラブにいた二年生だった小谷!?」

 わざとらしい花梨の声にたじろぎながらも、小鳥も『そうだよ』と返してみる。

 そんなに驚かなくても、花梨自身も既に知っていることだった。同じ高校のクラブでの後輩だった彼が国大に合格し、一年生のうちになんとかメンバーを集めて最近になって形になり立ち上げたものだった。

 小鳥が高校生の時に立ち上げた『自動車愛好クラブ』。その部員のひとり、ひとつ後輩に小谷という男子生徒がいた。その彼に次期部長を任せ、小鳥は卒業。その後も連絡は取り合っていて、彼も大学生になってすぐに車に乗ってダム湖の峠まで小鳥に会いに来てくれた。

「良いクラブが出来たね。今度、彼等とも交流してみない?」

 花梨が声高にいうと、ついに傍にいた国大生男子達が我慢できないとばかりに切り返してきた。

「でもよ。あいつら『オタク』じゃん。機械工学オタクみたいな、車のスペックを自慢に走るだけだろ。小鳥はともかく、他の女の子はそれでいいのかなあ?」

 小鳥は黙ってしまう。小鳥が立ち上げたドライブサークルに来てくれた女の子達の大半が『提携している国大男子に会える』というのが目的だったから。いまさら『車云々に夢中な大人しい男子』は興味がないと言いたいのだろう。




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