愛シテアゲル
「今度、彼と一緒に来なさい。待っているよ」
いつもの、優しい優しい伊賀上おじちゃんの静かな微笑みを見せられる。
「……うん。わかった」
彼とどうなったなんて、まだ真向かって言えないけれど。でも小鳥は頷いて、大好きな彼をおじいちゃんに紹介する約束をする。
「さあ。食べよう。急いで着替えに帰らないとね」
「うん」
綺麗なスクランブルエッグとか、かりかりのトースト。
おじいちゃん特製の柚子マーマレードに苺ジャム。生ハムのサラダに、紅マドンナのカットフルーツ。
おじいちゃんの店にあった苺のカップに入れられたミルクティー。
綺麗な綺麗なモーニングの食卓ができあがっていて、小鳥も目をキラキラさせてしまう。
「いただきまーす」
「沢山食べるんだよ。小鳥はほんとうにフル稼働なんだから」
「大好きなおじいちゃんの朝ご飯が食べられるなんて、とってもいい気分」
ほんとうに、おじいちゃんのお店も、おうちも、お部屋も、ご飯も大好き。
だからなくしたくない。おじいちゃんが一人で創ってきた世界の中で、小鳥は育ってきた。
龍星轟という自宅とは違う、もうひとつの『私の家』だと思っているほどに。
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