愛シテアゲル
車のように愛して。(2)
「そう。えっと……。これがいいと選んだら、ペアだったんだよ。ペアなのに片方だけだなんて、なんかヒビがはいるみたいで嫌だろ。だから俺の分も……」
「どうして、そう言ってくれなかったの!?」
口元を曲げ、翔が肩を落とす。
「小鳥が指につけてきたら、俺もつけて、びっくりさせようかなと……。だけれど、指じゃなくて、キーについていると知ったのは今朝なんだけどな。でも、肌身離さず、俺の部屋の鍵と一緒に持っていてくれていると判って、嬉しかった」
「ご、ごめん……。ほんとうは指につけたいよ」
「いいんだよ。小鳥が家族や龍星轟の兄さん達に知られても大丈夫という気持ちになるまでとっておいてくれたら」
「大丈夫だよ。でも……お兄ちゃんが……」
優しく微笑んでくれていたのに、その目元が凛々しい眼差しになり、真っ直ぐに小鳥をみつめてくれる。
「小鳥が俺のものになる。俺の傍にいて欲しい。そう願っていた時から、ずっと前にもう覚悟していたことだ。俺はもっと大丈夫」
ずっと前? 小鳥は彼を見上げ、目を丸くした。
私を欲しいとか、俺のものにしたいと、だいぶ前から思っていたと言ってくれたから。