愛シテアゲル
「小鳥、」
「しょ、翔にぃ・・」
車の中なのに、彼の唇はあの日のベッドでそうだったように、小鳥のあちこちにキスを落とした。
そしてその指先が小鳥が着ているチェックシャツのボタンを外し始める。
彼の部屋でもない、彼のベッドでもない。でも小鳥も戸惑わない。
その指先をどこまでも許した。
シャツを開くと、薄いタンクトップになる。またそれを翔が静かにめくりあげてしまう。
素肌に彼の大きな手、熱い手。
小鳥の素肌に優しく触れる。
海辺の薄い夜明かりに、小鳥の白い肌が映える。
ピットでMR2を猫みたいに撫でていた彼の手を、小鳥は思い出していた。
あの手、あの手ときっと一緒。私の身体も、彼は車を愛すように撫でてくれている。
大事な車とおなじように、彼は愛でてくれている。
そう思うと、身体の奥からどうにも止められない熱いものがこみあげてきた。
溢れでてこぼれそうな感触……。
「嫌なら……」
「嫌じゃない」
いつもの断りが来たので、小鳥は直ぐに遮った。カノジョの許しを得ると、もう彼は優しいお兄さんではなくなる。