愛シテアゲル


 小鳥の肌に、たくさんのキスが落ちてくる。

「お、おにいちゃん……」
「わ、わかってる。ここじゃ、駄目だって……駄目だと、俺だって……」

 小鳥を抱くのはここではない。ハジメテは車の中ではない。
 きちんとしたところで、ちゃんとじっくりゆっくり……抱くと決めている。
 まるで自分に言い聞かせるように、翔は息だけの声で呟いている。

 小鳥もどうにかなりそう……。
 でもここじゃダメ。ダメだけど……。


「翔兄、もっとキス、して」

 望んだとおりに、小鳥の小さな唇を翔は強く愛してくれる。

「俺の部屋に行こう。ここは駄目だ」
「うん。行く、お兄ちゃんのところに行く」

 今夜こそ、彼の女になれる。この前とは違う。
 カラダが彼を望んでいるのがわかる。

 絡んだ腕と腕をなかなかほどくことができない。
 一度熱くなった身体と身体は離れがたい。
 お互いが深く深く抱き合うってこんなことなんだと――。
 彼と唇を深く愛しあいながら小鳥はその熱さに理性を奪われ、とろけていきそうだった。

「さあ、行こう」
「うん」

 やっと唇と唇が離れ、彼の指も小鳥の中から去っていく。
 額と額、鼻先と鼻先を擦りあわせて、囁きあう。


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