愛シテアゲル
今日、二十歳になる。
いつもよりちょっと可愛くしていこう。
ふわふわの白いニットワンピース。これにしよう。これに……。
「だめだ。可愛すぎる。わたしらしくない」
本当は着てみたくて買ったくせに。この日に着ようと思って買っておいたくせに。だって、お母さんが『友人披露宴』で着ていた写真を見たら、すごく素敵だったんだもん。あんなふうになってみたい。娘だもん、私も似合うかも。――と思って買ったのにと、小鳥はため息をつく。
「今日は女らしくしていく。していくんだから、着ていくんだから」
だけれど、いざとなったら、いつもはクールな服を好む自分には似合わない気がして放ってしまう。
結局、いつものチェックシャツにデニムパンツになってしまった。鏡の前で、顔を覆って『なにをしているんだか』とひとりで情けなくなってみたりする。
昨夜はいつもより眠れなかった。二十歳になるって、こんなに落ち着かないものなの? 数日前からずうっとドキドキしている。それもこれも……『お兄ちゃん』のせい。