愛シテアゲル



 郊外居酒屋の広い駐車場出口からバイパスへとその車が出て行く時、助手席の窓から彼女が笑顔で手を振っているのが見えた。手を振り返す前に、レガシィは車道へと消えていく。小鳥は最後にひとり残り、力んでいた肩を落とした。

 どうして。花梨ちゃん。勝部先輩には、地元に彼女がいるじゃない。

 しかも、小鳥は花梨が本当に好きな人を知っていた。だけどその人が振り向いてくれないことも……。そしてその人が花梨のハジメテの男性だとも聞かされている。

 今夜、その人がいなかった。でもいてもいなくても、きっと花梨はあの男の車に乗っていくつもりだったのだろう。

 乗っていっただけで、その後どうしているかは知らない。だけど二人きりになった時を何度か目撃したが、その時の素振りで予感していた。特に花梨よりも勝部の方が引き寄せているように見えた。花梨に触れるその手が、男の気を放っていた。

 まさか。そんな、適当な、関係?

 花梨がなにもかもを投げ出したくなるような気持ちもわからないでもない。でも、やっぱり小鳥は彼女にそんなふうになって欲しくなかった。

 MR2の運転席に乗り込むと、メールの着信音。エンジンをかける前にバッグから取り出してみる。




 

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