愛シテアゲル
「小鳥、ことり」
無数のキスに、小鳥の胸はいっきに熱くなった。
「翔、にぃ……」
彼の黒髪の頭を抱きしめる。自分の肌に柔らかい胸に彼が埋もれていく――。
「小鳥、こっちだ。おいで」
なんて優しく言ってくれたようでも、小鳥の手首を強く掴んだ翔は、強引にベッドへと小鳥を押し倒していた。
彼の体が温めてくれていたシーツに沈む女のカラダ。
まるで自分ではないような大人の女の身体。その真上に男が覆い被さる。
港が近い彼の部屋。静かな冬の夜――。そこで少しだけ、ふたりで見つめ合う。
小鳥の瞳の奥を確かめた翔に、すかさず唇を塞がれる。
女の肌に飛びついてきた彼を、小鳥からも両手一杯に抱き返し、彼の唇を懸命に愛した。
それまで、大切に扱ってくれていたんだと思った。今夜、翔の身体は女を捕まえるかのように重く、手先は男の渇望を露わにし、そして口先も舌先も意地悪で獰猛。
でも乱暴とか、もっと優しくしてだなんんて、少しも思わない。
むしろ、このまま激しく遠くに連れ去って欲しい気持ちに駆られた。
すぐに頬も熱くなった。身体中が燃えるという感覚も気持ちも初めて感じている。
「あっ……ん、翔、しょうにぃ・・翔……」
噛みつかれているみたいなキス、そして愛撫。
唇から頬、瞳に耳元に首元。情熱的な沢山のキスが降りそそぐ。
大きな手が小鳥の黒髪をなんども撫でてくれる。