愛シテアゲル


 やがてその熱烈なキスは、首元から胸元、柔らかな胸へと降りていく。

 湿り気を帯びた熱い吐息をまとわせた彼の口が、じっくりと小鳥の肌を愛していく。

 これは男の楽しみ方。男が欲しいものは、こうして手に入れる。
 それが男の愛し方。男だけの味わい方。

 あの王子様みたいだったお兄ちゃんが、獣に変化したようにも思えた。

 そんな厭らしいことを、清潔そうな顔の下に忍ばせて密かに願っている。
 そして、そんな獣が小さな雛を手に入れて、その雛がどんなふうに泣くのか意地悪に弄んで楽しむ――。
 そんな気もした。

 なのに……。なにこれ。ぜんぜん嫌じゃない。
 ものすごい心が弾けるほど胸がいっぱいになる。いっぱいになった胸が灼けついて、今度は焼き尽くされそうな気にもなる。

 やはり自分も女という獣みたいなものなんだ、きっと。
 雛だって、厭らしく感じるんだから。小鳥ももう恥じる前に、男に身体を愛されて甘やかさに溺れている。

 小鳥の身体中の味を確認し終えたのか、最後に翔は白い足を持ち上げ、あの夜と同じように、白くて柔らかいところを何度も彼が欲しがっている。

 あの翔兄が我を忘れて、額に汗を滲ませて何度もキスをして吸っている。

 そんなに我慢できない顔で愛されていると知って、小鳥の胸はなにもかもが溢れてしまいそうで泣きたくなる。



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