愛シテアゲル
なのに。小鳥の白い足にキスを落としながら、男として目指している秘密の園を目の前にして、翔が言った。寝そべって頬を熱くして喘いでいるだけの小鳥を、熱く見つめて言った。
「苺が好きな子は、ほんとうにイチゴみたいな匂いがするな」
喩えだとわかっている。でも。そんな甘い匂いがすると言ってくれる。
小鳥が憧れている『愛されると身体から放たれる大人の女の匂い』。
その匂いを大人の男が存分に愛してくれる。
いまが、その瞬間。
甘いイチゴの匂いがすると言いながら、彼が勝ち誇ったようにふと静かな笑みを見せた。
優しい息づかいになった彼が覆い被さりながら、小鳥の黒髪をかき上げ、その顔を覗き込む。
小鳥の瞳をみつめて、ついにその時という緊張をしているのがわかった。
だから。小鳥から彼の背に抱きついて、彼にキスをした。
『小鳥』。彼の唇から小さく漏れてきた吐息。小鳥は目をつむって、ただひたすら彼の背中に抱きついて、彼の唇を深く長く愛し続ける。彼も同じようにキスを返してくれる。
ぴったりと重ねられた熱い肌、貪るようなキス。ほどけない腕――。
開かれた足と足の間になにかが迫っていることなどもう……。我を忘れて彼とキスをして抱き合う。
唇も熱いけれど、とうとう小鳥の身体に、その痛みが駆け上がってきた。
――やっぱり。痛い。