愛シテアゲル
「お、お兄ちゃん……」
「ま、まだ、だ」
また、身体の奥に熱い痛みが。
あっ。痛い。その言葉を小鳥は唇をひき結んで、深く飲み込む。その代わりに、彼の背に爪を立てていた。
彼も我を忘れているみたい。耳元でずうっと小鳥小鳥といいながら愛してくれている。
彼の手と小鳥の手が、シーツの上で堅く結ばれている。小鳥じゃない。翔の方がすごい力で握っていて離そうとしない。
痛くて痛くて熱いそこを男の力でめいっぱい壊さないよう、翔の男の力はそこに集中してくれているようにも思えた。
小鳥が知っている彼ではなかった。荒い息づかいも、息んだ声も。でも時々見つめ合う目だけが、よく知っている『翔兄』――。
彼の額の黒髪が、小鳥の鼻先をくすぐった。はあはあと荒くて熱い翔の息が、ひときわ激しく小鳥の肌に落ちる。彼の汗の滴が小鳥の胸元にこすりつけられると、急に大きな身体がぐったりと落ちてきた。
静かになる……。
力尽きた彼が小鳥の身体の上に乗ったまま動かなくなった。