愛シテアゲル
この家は、とても静か――。
椿さんが終わっても、まだ夜中はきりこむ冬の空気に覆われている。
でもここだけは温かくて。とても安心する匂いに包まれていて。
微睡みが優しく小鳥の中に忍んできた頃。大切そうに身体を抱きしめていてくれた彼の方が寝息をたてていた。
なにもかも終わって彼の顔もやっと穏やかになって眠っている。
まだランエボに乗っていた後輩との決着が残っているけれど、あの乱暴な車はもう誰も襲わない。
翔兄が闘ってくれたおかげ。小鳥のことも、やっとハジメテ繋げてくれた。
彼の失ったもの、手に入れたもの。そんな忙しい一夜だったに違いない。
時計を見ると――。
小鳥は静かに素肌の身体を起こし、翔に気付かれないようベッドルームを出た。
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