愛シテアゲル
いつのまにかレディ。(2)
いつもの服をまとうと、いつもの自分に戻った。つい先ほどまで、自分ではなかった。そんな気分。
でも……。あんな大人みたいな女になるだなんて。
それは二十歳になったばかりの小鳥には夢のようなひとときだった。
彼はベッドルームで静かに眠っている。素肌のままぐっすりと。寝付きもいいけれど、目覚めもいい方。なんて言っていたけれど、やはり今夜はよほどに疲れきっているようだった。
テーブルの上に置いてあるMR2のキーを手に取った。
その時、同じように無造作に置かれているスープラのキーが目についた。
そのキーホルダーには、小鳥がしていたように銀色のリングが夜明かりに光っている。
小鳥のリングは薬指に。彼のリングはこれから……。
ふと思いついてしまい、小鳥はリングをキーホルダーからはずしてしまう。
「また明日ね。翔兄……」
眠っている彼をそのままに、小鳥は部屋を後にした。