愛シテアゲル
英児父の大きなため息が聞こえてきた。
「おまえ、何も悪いことはしていないだろう。どうして謝るんだ」
「自分はなにもしていなくても、自分がそんな男を引き寄せていたんです。そのせいで、お嬢様の車が狙われたり、巻き込んで殴られたり……。心苦しく思っています」
「そりゃあなー。小鳥がエンゼルをぶつけられた時も肝を冷やしたし、昨夜、あのバカ娘が相変わらず後先考えずに自分から突っ込んでぶっ飛ばされた時には、俺の方がどうにかなりそうだったわ」
「本当に自分の不始末です。社長も瀬戸田の叫びを聞きましたでしょう。サークル時代、彼は本当に瞳子に対して真剣だったんです。それだけに瞳子の気持ちを大事にできなかった俺の男としての不甲斐なさが、彼には腹立たしかったのでしょう。そういうことです、俺があの男を壊したんです」
「はあ、真剣ねえ……、不甲斐ないねえ、壊したねえ」
このようなことになったいきさつと反省を翔が真摯に述べているのに、それに対して英児父はどこか馬鹿にしたようないい加減な受け答え。