愛シテアゲル
「まあ。そうだよな。俺だって、スカイラインとGT-Rより、琴子がいなくなるほうが堪らねえもんな」
それって? 父ちゃんには琴子母。では翔には……。
そこで父親が誰と並べて言っているのか、やっぱりわかっていると思った小鳥は再び胸がドキドキざわめいてやまない。
「本当に、社長は相変わらずオカミさんが一番ですね」
翔は余裕で笑っている。
「ばっかやろう。あたりめえだろ」
英児父も、いつものおおらかな笑い声を立てていた。
「自分もそんな男になろうと思っていますよ。コーヒー、淹れますね」
「おう、頼むわ」
今度こそ、本当に男同士の対話が終わったようだった。
小鳥の目に涙が滲んでいた。
その顔を見られないよう、小鳥は事務所裏通路を出ると急ぎ足でガレージに向かいエンゼルに乗って出かけてしまった。
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