愛シテアゲル
小鳥もその後をついていく。
気のせいか。なんとか落ち着こうとしているような、お兄ちゃんらしくない翔兄の横顔。頬が赤くなっているように見えた。
「昨夜の……、」
「うん……なあに」
「いつまでも小鳥の匂いが……」
「う、うん……」
その続きをなかなか言ってくれなかったし、言わないまま翔は料理を始めてしまう。結局、その後も続きを言ってくれなかった。
でも。小鳥はわかってしまう。『昨夜の、小鳥の匂いがいつまでも残っている。忘れられない』なのではないだろうかと。
何故なら。小鳥も一緒だから。翔の匂い、肌の熱さに、愛してくれた手や唇。すべてが身体中に残っているから。
彼も、お兄ちゃんだけじゃない。男の人になったんだと感じる熱いキスに変わった気がした。