愛シテアゲル
18.おまえなんか、女じゃない。(1)
夕方、英児父がスカイラインで龍星轟に帰還する。
翔兄や整備士兄さん達がピットで整備にオーダーチューンをしている中、小鳥は事務所で矢野じいと一緒に、春キャンペーンのダイレクトメール作成を手伝っていた。
「おう、ただいま。店番、ありがとな」
武智専務と矢野じいに『ただいま』の挨拶をすると、英児父が小鳥を見た。
「翔を呼んできてくれるか。二人に話したいことがある」
言われて、小鳥は素直に頷き、ピットへ彼を呼びに行く。
社長デスクに珈琲片手に落ち着いた英児父の前へ、二人揃って向かった。
瞳子さんに会ってきた英児父……。何を聞いてきたのだろう。
翔も緊張をしているのが伝わってくる。小鳥も呼ばれて、二人揃って報告するその話はいったいどんな話なのか――。
「瞳子さんに会ってきた。今日、ちょうど、旦那さんが出張とかで、また赤ん坊抱いて出てきてくれたわ。真田珈琲の本店で待ち合わせた」
いま小鳥が出ることが許されていないアルバイト先で……。いや、信頼できる知り合いがいるからなのか、とにかく瞳子さんと英児父がそこで向き合ってきたとの報告。