愛シテアゲル
19.一緒に暮らそう。(1)
わかった。行くよ。
戸惑いはあったが、小鳥は彼にそう返事する。
「道後にあるカフェなんだ。駐車場もあるから車で行ける」
「道後のどのあたりなの、教えて」
私はMR2で、お兄ちゃんはスープラで。そんないつもの感覚だった。
「小鳥もスープラだ。行こう」
強く言われる。なんだかいつもの翔ではない感じで、小鳥は当惑する。
元カノのところに、『子供に手を出した』と言われた新しい恋人を連れて行くから? 彼もとても気構えている。
翔のスープラはガレージ前の従業員駐車場にあって、彼の車から英児父がいる事務所はよく見えてしまう。
「行こう。瞳子も、もう今夜しか出てこられないそうだから」
なのに翔は父親の目を気にすることなく、小鳥を連れていこうとしている。
――子供が、男と女のケジメの邪魔すんなよ。
意地悪く言われたけれど、いざ彼が連れて行ってくれるというと、英児父の言葉が一理ありすぎると思ってしまう。