愛シテアゲル


「相手がこれだけのことをしたんだもの。私だけ知らない顔なんてできないじゃない」

「だが、どう考えても瀬戸田が短絡的すぎるのが原因だ。たとえ、瞳子が引き金でも……」

「関わらなければ。そちらのお客さんの車が何台もぶつけられて、なんの関係のない小鳥さんが真っ正面から翔と間違えられてぶつけられて、二年も会っていなかった翔が狙われることも、翔を助けようとして小鳥さんが殴られることもなかった」

 あの乱暴な男は、私が呼んだのよ。

 彼女が言いきった。翔の言うとおり、あの瀬戸田という男が人妻に振られただけで終わっていればなにも起こらなかったとも言えるし、瞳子さんの言うように、人妻の自分がまったく相手にしなければ、あの男が逆恨みの炎を燃やすこともなかった。

「短絡的なのは、瀬戸田君じゃないの。私だったの」

 疲れ果てたため息を大きく吐くと、彼女はさらに教えてくれる。



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