愛シテアゲル
「この前から。小鳥……。俺、思っていたんだけれどな」
ボンネットに腰をかけていた彼がすっくと立ち上がる。あの涼やかな眼差しが、今度は真上から小鳥に注がれる。この前と同じ、ちょっと怖い目。
「う、うん。えっと、その、やっぱり子供っぽい? 私」
『違う』。小さくそう呟いた彼が、小鳥を勇ましく抱き上げた。
背の高い、逞しい筋肉を携えている長い腕に腰を抱かれ、小鳥のつま先は軽々とアスファルトから浮いている。
「きゃ、え、なに」
そのまま、今度は小鳥がスープラのボンネットに座らされた。
しかも小鳥を囲うように、彼の長い両腕がボンネットにドンと強くついた。
「え、翔兄……? なに怒っているの? この前から私がなにかいうと、なんか怖い顔するよね」
その翔の怖い顔がゆっくりと小鳥の鼻先に近づけられる。
「生意気なんだよ」
やっぱり。怒っている! 簡単に綺麗事ばかり子供っぽい発想しか口から出てこないから怒っている!?