愛シテアゲル
私が、愛シテアゲル。(2)
港町の彼の部屋。もうすぐこことはお別れ。
今夜も彼のベッドルームは優しく甘い香り。
小鳥のための匂い――。
この前とは全然違う。カラダがじゃなくて、彼が!
この前は優しかったのに、ゆっくり愛してくれたのに。今日の翔兄は、意地悪な男のように小鳥に無茶を要求してくる。
可愛い可愛い小さなヒナちゃんを労るなんて、もうない。男が『オマエの身体が欲しい』と欲望を滾らせたら、こうなるんだと小鳥ははあはあと吐息をつきながら翻弄されている。
小鳥のカラダにある秘密をひとつひとつ、彼に暴かれていく。
でも。この人になら。なにもかも触られてもいい、奪われていってもいい。
この人だけが私の秘密の場所に触れられる。特別な人。そんな気持ちになっていく――。
そんなことは決してと思っていたことでさえ、彼と小鳥だけの秘密になっていく。
彼のものになっていくという高鳴りが襲ってくる。それがまた甘い疼きに変わって、彼に強く奪って欲しいという女の欲望になっていく。
この人、男になると意地悪。清潔そうな王子様の顔をしていて、男になると意地悪。
いつも小鳥が元気いっぱいなんでも飛び越えていくから、これぐらいで泣くのがおかしいとクスクス笑っている。
でも。恥ずかしいはずなのに、すべてを彼に奪われて征服され、彼のものになっていくような……。
羞恥心と高揚感が綯い交ぜになって、それがまた小鳥の胸を焦がしている。