愛シテアゲル
「赤い小鳥はどうして、赤い……だった」
子供の頃に唄ったことがある。赤い実を食べたからでしょう――。そう答えようとした時にはもう、小鳥の唇に苺が一粒、押し付けられていた。
「赤い実を食べた、だったよな。小鳥はどうして甘い匂いがするんだろうな」
そういいながら、苺の先で唇を意味ありげに彼がくすぐる。
「ほら。小鳥。好きだろう」
今夜も苺の匂いがするカラダを、俺の身体に寄り添わせて。
「ほら。食べろよ」
「……なんか、翔がするとえっち」
「そのつもりだよ。ほら、」
なにを考えているのかわかっていて。小鳥はそっとその苺の先に舌を這わせてからぱくりと頬張った。
「一度でいいから、小鳥を苺漬けにしてみたいな」
「ベッドが真っ赤になっちゃうよ」
お兄ちゃんの顔をした王子様が、いまはたっぷりと色っぽい匂いを放つ男になってきた。
翔は小鳥と愛しあうことを『抜群』という。そんなに興味がなかったのに俺はどうしてしまったんだろう――と、よく呟く。
夜に彼と肌と肌を合わせることは、もう自然なこと。