愛シテアゲル


 仄かな灯りの中だけれど、彼の目の前で、小鳥は裸体を晒していた。

 彼の目を見た。黒く潤んでいて、お兄ちゃんも泣いているように見える? 彼も小鳥を見て、いつもと違う顔をしている。

 だけど直ぐに、よく知っているお兄ちゃんの笑みを見せてくれる。

 荒っぽくなるなんて言っていたけれど、翔は落ち着いていた。何事も静かにゆっくりで、じっくりしていて、小鳥が戸惑うような勢いなど皆無で、ほんとうに優しく優しく触れてくれる。

 だけど小鳥はなにもかも任せていながらも、黒毛がちらりと見え始めて、つい顔を背けてしまう。

 あー、どうなんだろう。私って不格好じゃないのかな。あーどうなんだろう。綺麗とかそんなんじゃないし。

 男から好んで欲するところだとわかっていても、小鳥にはまだよく解らない。小鳥のそこを、本当に愛してくれるのかなんて、自信がない。

 だけど翔は、真顔でそこを見つめていた。もう小鳥の顔でも、乳房でもなく。初めて目にするカノジョの秘密の場所。小鳥にとっても大事にとっておいた大事な場所。

 でも小鳥はいま、嬉しさも感じていた。最初に見せるならこの人、最初に触れても良いのは、このお兄ちゃんがいい。そう決めていて、その通りに彼に届けることができたような嬉しさもじんわりと広がっていく。


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