愛シテアゲル
お嫁にいかせて!(2)
車は一台で。今日、休日をもらっている翔のスープラで龍星轟に向かう。
車で走ると五分とかからない近所に彼は住んでいる。
「はあ、緊張するな」
「大丈夫だよ。お母さんには言っておいたから」
琴子母にはもう許してもらっている。
その母に今日は挨拶にいくことを前もって知らせている。
琴子母には、翔が越してから三ヶ月ほどした時に『翔兄とつきあっている。彼のマンションの合い鍵ももらった』という報告はした。
母からも『小鳥ちゃんもお年頃。お付き合いをしてもいいけれど。何がいちばん大事かわかっているわね』と強く言われた。つまり、女として取り返しのつかない無計画なことをするなという意味だと小鳥も察した。
もちろん小鳥は、それが妊娠するしないではなくとも身に染みていた。『後先考えずにお客様の前にでられない姿になって謹慎になったあの気持ち、忘れていません』と――。
すると母も『週末はかならず帰ってきなさい』とだけ、でもちょっと怖い顔で言われ、それから黙認してくれるようになった。