愛シテアゲル


 これって、聖児のとばっちり? スミレちゃんのご両親に申し訳ない。俺だったらこんな半人前が娘をもらっていくだなんて許さない! あそこまで息子につきつけた後、娘の小鳥が『彼と一緒になることを許してください』なんてお願いして、手のひらを返したように『いいぞ』なんて言えるわけがない! と、いうことに気がついた。

「小鳥」

 涙を滲ませた小鳥の顔を、翔が覗き込む。
 彼が小鳥の手をしっかりと握って言った。

「俺も、今日しかあり得ない」

 小鳥の手をぐっとひっぱりながら、聖児と父が睨み合っている間に、黒いスーツ姿の翔が立ちはだかる。

「社長。いえ、お父さん。俺も今日しかないと思って来ました」

 小鳥の手を握ったまま、翔は英児父に向け、深々と頭を下げる。

「小鳥さんをください。お嬢さんと、結婚させてください」

 小鳥はギョッとし、飛び上がりそうになった。
 『結婚前提の同棲生活をしたい』というお許しだったはず?




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