愛シテアゲル
「彼女には夢があります。だから、本当は彼女がもっと経験を積む時間を経てからと思っていましたが、それは俺が夫になっても、彼女が妻になっても、そばで見守ってあげられるなら、変わりはないと思っています」
お願いします!
もしかして翔は、聖児に感化されちゃったとか?
それとも最初からそのつもりだったのか?
とにかく、ふたりの予定がかなり飛躍しちゃっていた。
「うわ、翔兄。かっけええ!」
こんな状態にひっかきまわしてくれた聖児が大人の男の挨拶にわくわくと目を輝かせているから、小鳥はもう呆れて呆れて気が遠くなってきた。
翔の決死の挨拶の後、事務所がシンとしてしまった。
どうまとめればいいかわからないのだろう、誰もが。英児父に至ってはもう口を開けば『許さねえ』しか出てこないだろうし。
「おい、英児。なんとか言えや」
見かねた矢野じいが促したが、英児父は凄んだまま翔を睨んでいるだけ。
「賑やかな声がしたけれど。英児さん、小鳥ちゃんと桧垣君が来たみたいね」
事務所のドアが開いて、琴子母が姿を現した。