愛シテアゲル

   お嫁にいかせて!(3)



 もう滅茶苦茶なご挨拶になってしまい、ふたりはそのまま気晴らしのドライブにでかけた。

 話し合ってもいないのに、翔のスープラは長浜に向かっていた。
 まるで小鳥の心の中がなにもかも見えているかのように。
 こんな日。おじいちゃんに会いたいだろう。彼がそう見透かしている。

 実際に、そんな気分だった。龍星轟も彼との部屋も離れて、遠く離れて、どこかでクールダウンしたい。

 そんな時に浮かぶのは、伊賀上おじいちゃんの家。いつも泊まらせてくれる二階の部屋――。

 やがて、伊賀上マスターの店『シーガル』が見えてきて、翔がそこの駐車場に入ってスープラをとめてしまった。

 でも小鳥はそれでいいと思った。ひとまず潮の香にあたりたい。
 強くなってきた日射しも夕に向けて柔らかになって、優しく瀬戸内を輝かせている。



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