愛シテアゲル


「……小鳥、だ、大丈夫か」

 お兄ちゃんの、青ざめた顔――。

 小鳥はそっと起きあがり、床に裸のままぺたんと座って茫然としてしまう。
 これが私の初エッチ? 嘘。ベッドから落ちただなんて……最悪!

 涙が溢れてきた。

「ご、ごめんなさい。お兄ちゃん。ごめんなさい」

 せっかく素敵に抱き合っていたのに。大事に大事に、優しくリードしてくれていたのに。

 私、まだ子供なんだ。素敵なムードになんなく溶け込めるような大人の女じゃない。

 結局、すごく怖かったんじゃない。

 悔しくてメソメソしていると、ベッドの上からふっとした笑い声が聞こえた。

「おいで」

 涙を拭う小鳥の目の前に、大きな手。見上げると、よく知っているお兄ちゃんの笑顔がそこにある。

「早すぎたかな。ごめんな。誕生日にそうなったほうが女の子は嬉しいのかと思って。無理押ししたな俺」

 小鳥は首を振る。

「ううん。私、早く、早く、お兄ちゃんのものになりたかったんだもの。子供じゃないって……私……」

 また涙が溢れてくる。今度は翔の手は、小鳥を待たずに腕を掴んでベッドへと引っ張る。
 その力につられ、小鳥も立ち上がってベッドの上へと戻った。



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