愛シテアゲル


「どんなふうに痛がるのか、我慢してくれるのか、わからなかったんだ。しかも、小鳥だろ」
「小鳥だろって……」

 どういうこと? と、首を傾げた。

「小さい時からの小鳥を見てきたし、その子が大人になるまで、龍星轟の皆が大事に大事に見守ってきただろ。なによりも尊敬している社長が、いちばん大事に守ってきたことを知っているから。まるでそれを、俺の手が壊して突き破るみたいで。勿論、俺は小鳥とこれから一緒にいたいから覚悟はしている。俺だって、今夜は小鳥がどんなに痛がっても、大事に大事に抱いてやろうと思っていたんだけれど」

 失敗したな。俺、結局、優しくなかったかもな。
 小さく彼がため息を落とした。とても情けない顔で。

「翔兄、好き」

 寄り添っている彼の胸に頬を寄せて、小鳥はその肌にそっとキスをした。

「だって、翔兄が優しく優しくしてくれたこと、ちゃんと感じていたよ。私こそ、ごめんね。もう少し我慢したらいいのに。ごめんね」

「まあ、今日はお互いの裸をお披露目ってことで」

 抱きつく小鳥の黒髪を何度も何度も撫でながら、軽やかに笑ってくれ、小鳥もほっとする。

「でも。かっこわるいね、私。恥ずかしいよ」

 ベッドから落ちるだなんて。しかも頭から。裸で股もひらけちゃって、そんな女を見たら色気もなにもなくって、雰囲気も台無し。もう恥ずかしくて顔から火が出そう。

 頭の上から懸命に抑える笑い声が漏れて聞こえた。彼がくすくすと笑っている。

 もう本当にムード台無し。大人のお兄ちゃんに笑われている。


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