愛シテアゲル
収まったと思った男の熱気がふわっと小鳥の肌に戻ってきた気がした。お兄ちゃんの体温が高くなる、熱くなる。その通りに優しいキスが一変して、また獰猛な男の唇へと戻っていく。
「あ、あっ。お、お兄ちゃん」
乳房の柔らかい膨らみに触れそうで触れない、輪を描くようなキスを繰り返している。
初めて、彼に胸の先を吸ってほしいと欲した。なのにしてくれないからそこがツンと尖ったまま放置され、彼は外堀から攻めていくようなじれったい愛撫のキスをするだけ。
言える訳ない、言えない。まだ言えない。
「どうして欲しい? 小鳥、いま、すごく女らしい顔している」
「い、意地悪」
「意地悪? 言いたいけれど言えないことがあって、俺がそれを言わせようとしているってことなのか。だったら、言ってごらん。恥ずかしがって、これからもずっと俺に遠慮して、通じ合わないセックスを繰り返していくことになるんだけどな……」
うー、絶対に小鳥の口からそう言わせたくて攻めているんだと顔をしかめた。
だけど、初めての日にそれは惨いと勘弁してくれたのか、小鳥が望んでいるとおりに彼の口が静かにでも強く、小鳥の紅い胸先を吸ってくれた。
きゅっと走る甘い痛みは……。岬の日の甘い秘め事を思い出させてくれる。あの時に知ってしまった、甘い痛み。それを小鳥は泣きたい気持ちになりながら、じんわりと感じている。
「気持ちいい、スゴク」
「そうか。よかった」
彼は、吸いながらも時々強く噛む。噛んだ後は虐めたことを労るようにして、優しく舌先で舐めてくれる。その繰り返しがまた小鳥を啼かせた。