愛シテアゲル
「小鳥……、俺な……」
「うん、なに」
何かを伝えたいようなのに、翔はそこで黙って小鳥の乳房に夢中になっている。乳房からなんども、ちゅっちゅとした音が届く。何度も何度もお兄ちゃんが愛してくれるじっくりとした時間に、小鳥もすっかりとろけてきていた。
「俺は、知っている。普段の小鳥は、ボーイッシュにシャツにデニムだけれど。ふとした仕草や顔つきが、たまーにスゴク女らしくなる瞬間がある。その時のお前、普段がボーイッシュだから、すっごい女の匂いを放つ。その時、俺は無性に心配になる」
ど、どうして? 小鳥は胸元から離れない男の黒髪を、抱きしめ問い返した。
「絶対に。他の男達も、外見も性格もボーイッシュな小鳥が、本当はとんでもない女らしさを秘めている瞬間を見て、釘付けにされた一瞬があるはずだって……」
大学の友達、バイト先の同僚。小鳥の周りにいる男達が全て。
「誰も女扱いなんかしてくれないよ」
彼の顔が、枕に寝そべっている小鳥の真上に戻ってくる。愛撫してくれた唇が濡れている。
お兄ちゃんの目が真剣で、小鳥も黙って見つめ返した。
「そうやって小鳥が無防備だから、他の男がその隙を狙っていないかずうっと心配だったんだ、ずっと! 小鳥はまだわからないかもしれないけれど、男は知っているし、見えるんだ。女が身体の奥に秘めている女らしさを、嗅ぎ取るんだ。最後は外見じゃないんだよ」
彼の大きな手が、小鳥の頬に触れると、優しいキスが落ちてきた。