愛シテアゲル


 マンション側の路肩に止めていたMR2に乗り込むと、小鳥は強くアクセルを踏み込み、激しくふかした。

 助手席に置いたスマートフォンが鳴り響く。でも小鳥にはもう聞こえない。ハンドルを大きく回し、アクセルを踏みタイヤをぎゅっと鳴らして国道へと飛び出した。
 

 MR2のエンジン音が、今夜は空高く唸る。

 どこに向かっているかわからなかった。ただアクセルを踏んで走っていた。

 違う、違う。私じゃない。翔兄のあるべき幸せを壊したのは……。私、なの?

 それに。車屋の娘だから、理解があって楽って……。子供の私を好きになってくれたのは、そういうことなの?







 

 

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