愛シテアゲル
走り始めて気がつく。片側のライトがやられている。片方しか光っていない。
……惨めだった。前も後ろも、エンゼルを傷つけてしまった。
だけど、もう小鳥の心は、翔へと向き直っていた。
なんてこと。お兄ちゃんの元カノが精神不安定で訪ねてきて、赤ちゃんを放ってどこかに行ってしまうだなんて。お兄ちゃんが一人で困っている。自分になにができるかわからないけれど、小鳥はもう真っ直ぐに港町へと傷ついたMR2で向かっていた。
カーブを曲がるたびに、ライトが照らす光が片側だけで胸が痛む。
「ごめん、エンゼル……。守るためだったはずなのに。こんな守り方しかできなかった」
悔し涙に、情けない涙。なにもかもぐちゃぐちゃにして、でも小鳥は彼の元へと向かっている。
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