愛シテアゲル
「ネットでわかるんじゃないの」
「そうだ、そうだった」
冷静さも失っているのか、いつもならお兄ちゃんがテキパキ思い付きそうなことを、年若い小鳥に言われて気がつく始末。相当、気が動転していると見た。
だけれど翔は苛立った様子で、いじっていたスマートフォンをいきなりソファーへと放り投げた。
「むちゃくちゃ非効率だ。だけどこのままでは……」
らしくなく黒髪をくしゃくしゃとかいたかと思うと、翔はまたスマートフォンを手に取った。
「くそ。母さんに聞いてみるか」
「え、お母さんって。桧垣のお母さん?」
「ああ。詳しい人に来てもらうのが一番だろ。俺が実家にこの子を連れて行ったら二十分くらいでなんとかなるだろ」
「ま、待って。その前に瞳子さんは? 探さなくていいの?」
「携帯の番号を変えられていて、俺は知らないんだよ。そのうちに帰ってくるだろうと待っていても、もう小一時間帰ってこないんだぞ。こっちも宛にならない」
確実に行く。それが桧垣のお母さんを頼ることだった。
だが小鳥は咄嗟に、翔の手からスマートフォンを取り上げてしまう。
「ダメだよ! 元カノの子供を押し付けられて息子が困っているだなんて。お母さん、びっくりしてショックを受けるよ。しかもこんな夜に突然赤ちゃんを連れて行っても、桧垣のおうちでもすぐに準備できる訳じゃないでしょう」