愛シテアゲル
「よっしゃ。小鳥、帰るか」
「え、帰る?」
やっとお兄ちゃんと二人きりになれると思ったのに。
「てか、お前。なんで翔のところにいたんだ」
問われて、小鳥と翔は改めてぎくりと固まった。
「あー、その、あ! 峠でランエボに襲われて、すぐにお兄ちゃんに電話したの。そしたら、お兄ちゃんは赤ちゃんと二人きりで困っていて……だから……」
『ほう』と父が釈然としない目で小鳥と翔を交互に見た。だが父の気持ちはすぐに違う方に飛んでいった。
「そうだ。エンゼル、あれひでえな。胸くそわりい! 明日の夜、俺が峠に行く!」
え、父ちゃんが峠に!? 小鳥と翔は揃って仰天した。
「たりめえだろ! 俺の娘のエンゼルをあんなにしやがって。許せねえ~!! 翔、お前も手伝え」
「は、はい。勿論、です」
また父ちゃんのロケットが発射した。こうなると流石のお兄ちゃんも、ロケット乗務員として連れて行かれるだけ。それが龍星轟の日常。
一難去ってまた一難? なんだかぜーんぜんお兄ちゃんと二人きりになれない予感……。