Memory~記憶の欠片~
朔の自己紹介が終わるとドアの所にいた知らない金髪の男性が口を開いた。
「光にぃたちから事情は聞いてたけど、本当に何も覚えてないんだね」
その人はすごく悲しそうな顔をした。
罪悪感が胸を締め付ける。
「……ごめんなさい」
それしか言えなかった。
「律。紫織ちゃんは悪くないから謝らないでいいんですよ。律は紫織ちゃんと仲が良かったから少し混乱してるんです」
光にぃが申し訳無さそうに私を見る。
「そうなんですか……」
律と呼ばれる男性は少ししょんぼりしながらゆっくり近付いて来てくれた。
「しーちゃん、さっきはごめんね。僕の名前は巳城 律(ミシロ リツ)って言うんだ。年は17の高3なんだ。光にぃたちと一緒でしーちゃんの幼なじみ。りっくんって呼んでね」
「りっくん大丈夫ですよ。よろしくお願いします」
りっくんは少し寂しそうに笑った。
その笑顔に心が痛んだ。