Memory~記憶の欠片~
「退院おめでとうございます」
看護師さんが笑顔で言った。
私の担当だった看護師さんが玄関まで見送ってくれたのだ。
「お世話になりました」
「いえ。お気をつけてお帰り下さいね」
「ありがとうございます」
退院の日が来ても私は何も思い出せなくて少し落ち込んでいた。
私はぺこりとお辞儀をして、光にぃから教えて貰った住所に向かう為にメモを見る。
少し歩いて行くと4人の男性の姿が見えた。
「紫織ちゃん。退院おめでとう♪」
そこには、花束を持った光にぃたちが立っていた。
「皆さん!?もしかして迎えに来てくれたんですか?」
「ちげえよ。てか、治りが早かったな、お前」
そうなのだ。
私が目覚めた時にはもうほとんどケガは治っていた。
これにも私は違和感を感じていた。
お医者さんに聞いたケガの状態はとても3日で治るものではなかった。