もう春は来ない
「お前らのせいだからな!」
「そうだよ、何とか言えよ!」
「あれはちょっとやりすぎよね……」
皆がそれぞれにソイツらを責める。
「な、なによ。あたしたち一緒に遊んでただけじゃん!」
そのリーダー格の女子は、そう言うと、カバンを持って教室から出て行った。
ソイツと釣るんでた、さっきまで一緒に笑っていた女子らは、みな下を向いて。
誰も、後を追わず。
コイツらの友情なんて、所詮こんなもんで。
「アタシたちは、あのコが怖くて言いなりになってただけだから、ねえ」と、ソイツが教室からいなくなるのを見届けてから言い訳を口にした。
高校二年生の……、十六歳の友情なんて、これぐらい薄っぺらいもんで。
だけど、
その場から逃げ出したソイツも、ここでオドオドと目を泳がせている女子らもわかっている。
自分たちのせいだ――
コイツらに、もう春は来ない。