もう春は来ない


「お前らのせいだからな!」

「そうだよ、何とか言えよ!」

「あれはちょっとやりすぎよね……」

 皆がそれぞれにソイツらを責める。



「な、なによ。あたしたち一緒に遊んでただけじゃん!」

 そのリーダー格の女子は、そう言うと、カバンを持って教室から出て行った。

 ソイツと釣るんでた、さっきまで一緒に笑っていた女子らは、みな下を向いて。


 誰も、後を追わず。
 
 コイツらの友情なんて、所詮こんなもんで。


「アタシたちは、あのコが怖くて言いなりになってただけだから、ねえ」と、ソイツが教室からいなくなるのを見届けてから言い訳を口にした。


 高校二年生の……、十六歳の友情なんて、これぐらい薄っぺらいもんで。


 だけど、

 その場から逃げ出したソイツも、ここでオドオドと目を泳がせている女子らもわかっている。






 自分たちのせいだ――














 コイツらに、もう春は来ない。





< 16 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop