女王の密戯
独り暮らしのマンションの一室は冷えきっている。それは冬場だからということではなく、例え暖かい季節でもそう感じるのだ。
茶田はリビングの電気を点け、それからテレビも点けた。そこで急激に空腹を感じ、仕方無しに冷蔵庫へと足を向けた。
捜査中、空腹を感じることはないし、何よりまず食事が喉を通らない。だがこうして一度捜査から離れれば腹が減る。
茶田は冷凍庫から電子レンジで温めるだけのパスタを取り出し、それを電子レンジに放り込んだ。適当に時間を三分に設定し、インスタンスコーヒーを淹れる準備をする。
昔は自分で自分の食事を支度することはなかったし、何より何も出来なかった。今は作ろうと思えば簡単なものくらいなら作れるが、仕事の後ではそんな気力もない。
電気ケトルが沸騰を知らせるタイミングで電子レンジも終了の合図を告げた。
電子レンジを開けるとナポリタンの匂いが空腹を増幅させ、淹れたてのコーヒーの香りもそれを手伝った。
リビングに移動してパスタを食べ始めたとき、留守番電話のランプが点滅していることに気付いた。携帯電話が当たり前となった今時、固定電話を使う機会は滅多になく、それでも解約しないのは必要性があるからだった。
茶田はパスタを食べ終え、コーヒーを飲み干してから留守番電話のボタンを押した。
ピー、という冷めた機械音が耳に届く。
『……紗綾(さや)です。あの、優輝の七回忌のことなんですけど、いえ、また連絡します』
そこで音声は途切れた。
昔毎日聞いていた声なのにそれはまるで他人のもののようだ。
茶田はリビングの電気を点け、それからテレビも点けた。そこで急激に空腹を感じ、仕方無しに冷蔵庫へと足を向けた。
捜査中、空腹を感じることはないし、何よりまず食事が喉を通らない。だがこうして一度捜査から離れれば腹が減る。
茶田は冷凍庫から電子レンジで温めるだけのパスタを取り出し、それを電子レンジに放り込んだ。適当に時間を三分に設定し、インスタンスコーヒーを淹れる準備をする。
昔は自分で自分の食事を支度することはなかったし、何より何も出来なかった。今は作ろうと思えば簡単なものくらいなら作れるが、仕事の後ではそんな気力もない。
電気ケトルが沸騰を知らせるタイミングで電子レンジも終了の合図を告げた。
電子レンジを開けるとナポリタンの匂いが空腹を増幅させ、淹れたてのコーヒーの香りもそれを手伝った。
リビングに移動してパスタを食べ始めたとき、留守番電話のランプが点滅していることに気付いた。携帯電話が当たり前となった今時、固定電話を使う機会は滅多になく、それでも解約しないのは必要性があるからだった。
茶田はパスタを食べ終え、コーヒーを飲み干してから留守番電話のボタンを押した。
ピー、という冷めた機械音が耳に届く。
『……紗綾(さや)です。あの、優輝の七回忌のことなんですけど、いえ、また連絡します』
そこで音声は途切れた。
昔毎日聞いていた声なのにそれはまるで他人のもののようだ。