女王の密戯
「おはようございます」
茶田が所轄の前で大きく欠伸をしたところを由依が声を掛けてきた。夕べは留守電に残った声が頭から離れず昔の夢まで見てしまい寝起きの気分は最悪だった。
「……ああ」
茶田が答えると由依はにっこりと笑い、今夜どうします、と尋ねてきた。
そこで昨日三浦が由依を帰す為に勝手にした約束を思い出した。どうあしらうかなどすっかり考えるのを忘れていた。
「いや、今夜は無理だ」
それなら率直に断ればいい。茶田はそう考えて返したがその言葉に由依はええ、と表情を歪めた。
「約束したじゃないですか」
その言葉で不意にあの声が脳裏に浮かんだ。
約束したのに。
そう頭の中で呟かれる恨めしそうな声。
全て夕べの留守電のせいだ。だからこんなにも簡単に記憶が蘇るのだ。
「おはようございます。こんなとこで立ち話って、寒くないですか?」
頭に混乱が生じる寸前で三浦の声が耳に届いた。
そちらに顔を向けると三浦が寒そうに手を擦りながら茶田と由依の顔を交互に見た。
「どうかしました?」
由依の表情を見て、三浦が少しだけ眉をひそめてどちらにともなく言った。すると由依は聞いて下さいよ、と三浦に少しだけ身体を寄せた。
「茶田さん、昨日の約束守ってくれないって言うんですよ」
由依は口を尖らせて、少しばかり恨めしそうに茶田を見上げた。
「え、約束は守りましょうよ」
自分が勝手に取り付けた約束のくせに三浦は茶田が最低だと言わんばかりの視線を向けてきた。茶田はそれに内心舌打ちしたくなりながらも口を開いた。
茶田が所轄の前で大きく欠伸をしたところを由依が声を掛けてきた。夕べは留守電に残った声が頭から離れず昔の夢まで見てしまい寝起きの気分は最悪だった。
「……ああ」
茶田が答えると由依はにっこりと笑い、今夜どうします、と尋ねてきた。
そこで昨日三浦が由依を帰す為に勝手にした約束を思い出した。どうあしらうかなどすっかり考えるのを忘れていた。
「いや、今夜は無理だ」
それなら率直に断ればいい。茶田はそう考えて返したがその言葉に由依はええ、と表情を歪めた。
「約束したじゃないですか」
その言葉で不意にあの声が脳裏に浮かんだ。
約束したのに。
そう頭の中で呟かれる恨めしそうな声。
全て夕べの留守電のせいだ。だからこんなにも簡単に記憶が蘇るのだ。
「おはようございます。こんなとこで立ち話って、寒くないですか?」
頭に混乱が生じる寸前で三浦の声が耳に届いた。
そちらに顔を向けると三浦が寒そうに手を擦りながら茶田と由依の顔を交互に見た。
「どうかしました?」
由依の表情を見て、三浦が少しだけ眉をひそめてどちらにともなく言った。すると由依は聞いて下さいよ、と三浦に少しだけ身体を寄せた。
「茶田さん、昨日の約束守ってくれないって言うんですよ」
由依は口を尖らせて、少しばかり恨めしそうに茶田を見上げた。
「え、約束は守りましょうよ」
自分が勝手に取り付けた約束のくせに三浦は茶田が最低だと言わんばかりの視線を向けてきた。茶田はそれに内心舌打ちしたくなりながらも口を開いた。