女王の密戯
三浦は疑わしい視線を茶田に向けてきた。
自分のことも話さない相手に自分のことだけ打ち明ける義理はない。茶田はそう思い口を閉ざした。

「まだお話終わりませんか?」

少し離れたところで由依が大きな声を出している。

「兎も角、もうこれ以上余計なことはするな。いいな?」

茶田が言うと三浦は渋々、といった調子ではい、と返事をしたがそれを了承しているかどうかは甚だ疑問だ。
茶田は不服そうな三浦の肩を軽く叩いてから由依の元へと戻った。

「今夜の食事はなしだ」

由依の前に立つなりそう言うと由依は途端に笑顔を作った。もしかしたら二人でひそひそと話していた内容に勘づいたのかもしれない。そして自分には全く脈がないことを察したのか。

だとしても腑に落ちない。
そんなことくらいであっさり引き下がる女ではないはずだ。だが、幾ら腑に落ちないとしても、自分を諦めてくれるのならそれに越したことはない。

「わかりました。なら、事件が終わった後の三人で食事に、というのは守って下さいね」

由依はにこりと笑いながらそう言った。
やはり腑に落ちない。

「……ああ」

茶田が疑問を抱きながら頷くと由依は「さ、捜査会議始まりますよ」と、茶田の腕を引っ張った。








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