女王の密戯
無意味と思える作業を無意味に眺める茶田の隣では三浦がそれとは正反対に真剣な眼差しで鑑識のを観察している。整った横顔は二十八歳だというのに僅かな幼さを感じさせるが、それは彼の輪郭が丸みを帯びているからか。
「犯行現場は此処っすかね?」
三浦は不意に顔を三浦の方に向けた。彼の丸い瞳は「あれ」を思い出させる。眉が嫌だ、甘い顔が気に食わない。色んな言い訳をつけてみても、自分が彼を凝視出来ないのは結局のところそれなのだ。
茶田は内心自嘲しながらも、嫌味のような笑顔を作った。
「そこに血痕が広がってんだから此処だろう」
遺体の直ぐ脇には被害者のものと思われる少ない血溜まりが出来ている。勿論それも後頭部の下にあるものと一緒で既に乾いている。
別の場所で殺してから遺体を此処に運んだのならこうはならない。
「あ、そうすね」
三浦は真っ白な息を吐き出しながら言った。その様はまるで煙草の煙を吐き出したようで不意に茶田の口の中に煙草の味が広がる。
何年も吸っていないというのにその味は妙に鮮明だ。
「取り敢えず、不審人物がいないか聴き込みだな。捜査会議が始まるまで時間はまだある」
茶田は少々面倒そうに呟いたが、三浦はそれに対しての文句は口にしなかった。彼が自分の発言に対してどのタイミングで文句を述べるのか、茶田には未だにわからなかった。
「犯行現場は此処っすかね?」
三浦は不意に顔を三浦の方に向けた。彼の丸い瞳は「あれ」を思い出させる。眉が嫌だ、甘い顔が気に食わない。色んな言い訳をつけてみても、自分が彼を凝視出来ないのは結局のところそれなのだ。
茶田は内心自嘲しながらも、嫌味のような笑顔を作った。
「そこに血痕が広がってんだから此処だろう」
遺体の直ぐ脇には被害者のものと思われる少ない血溜まりが出来ている。勿論それも後頭部の下にあるものと一緒で既に乾いている。
別の場所で殺してから遺体を此処に運んだのならこうはならない。
「あ、そうすね」
三浦は真っ白な息を吐き出しながら言った。その様はまるで煙草の煙を吐き出したようで不意に茶田の口の中に煙草の味が広がる。
何年も吸っていないというのにその味は妙に鮮明だ。
「取り敢えず、不審人物がいないか聴き込みだな。捜査会議が始まるまで時間はまだある」
茶田は少々面倒そうに呟いたが、三浦はそれに対しての文句は口にしなかった。彼が自分の発言に対してどのタイミングで文句を述べるのか、茶田には未だにわからなかった。